国や自治体の取り組みを定めた認知症基本法が参議院本会議で14日、可決・成立した。
認知症の人が尊厳を持って生活できるように、国に対策の基本計画策定を義務づけ、自治体にはは地域事情に応じた支援計画を立てる努力義務を課している。その際、本人や家族の意見を聞くことも求めている。
認知症基本法の概要
(目的)
我が国における急速な高齢化の進展に伴い認知症である者が増加している現状等に鑑み、認知症の予防等を推進しながら、認知症の人が尊厳を保持しつつ社会の一員として尊重される社会の実現を図るため、認知症に関する施策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにし、及び認知症施策の推進に関する計画の策定について定めるとともに、認知症施策の基本となる事項を定めること等により、認知症施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
(定義)
「認知症」とは、アルツハイマー病その他の神経変性疾患、脳血管疾患その他の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状態として政令で定める状態をいう。
(基本理念)
認知症施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
1 常に認知症の人の立場に立ち、認知症の人及びその家族の意向の尊重に配慮して行われること。
2 認知症に関する国民の理解が深められ、認知症の人及びその家族がその居住する地域にかかわらず日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるとともに、認知症の人が地域において尊厳を保持しつつ他の人々と共生することを妨げられないことを旨とすること。
3 認知症の人の意思決定の支援が適切に行われるとともに、その意向を十分に尊重し、その尊厳を保持しつつ、切れ目なく保健医療サービス、福祉サービスその他のサービスが提供されること。
4 認知症の人に対する支援のみならず、その家族その他認知症の人と日常生活において密接な関係を有する者(以下「家族等」という。)に対する必要な支援が行われること。
5 認知症に関する専門的、学際的又は総合的な研究を推進するとともに、認知症及び軽度認知障害(アルツハイマー病その他の疾患により認知機能が低下した状態(認知症を除く。)として政令で定める状態をいう。)に係る予防、診断及び治療並びにリハビリテーション及び介護方法その他の事項に関する研究開発等の成果を普及し、活用し、及び発展させること。
6 教育、地域づくり、雇用、保健、医療、福祉等の関連分野における総合的な取組として行われること。