第3号被保険者とは


■第3号被保険者の要件

① 20歳以上60歳未満の者であって、厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)の配偶者であること

② 日本国内に住所を有する者(国内居住要件)

③ 第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(生計維持関係)

■生計維持関係の認定

〇 年間収入が130万円未満

※ 年間収入は今後1年間の収入を見込んで判断する

■第3号被保険者制度の導入経緯

〇 サラリーマン世帯の専業主婦についても、第3号被保険者として国民年金の強制適用対象とし、自分名義の年金権を得られるようにした。

〇 その際、第3号被保険者については、健康保険において被扶養配偶者は自ら保険料を負担せずに医療保険給付を受けているのと同様に、独自の保険料負担を求めず、基礎年金給付に必要な費用は、被用者年金制度全体で負担することとした。

(昭和60年の年金制度改正)


第3号被保険者制度の在り方について


  • 女性の労働参加が進展し、共働き世帯が増加するなど女性を取り巻く環境が変化する中で、被用者保険の適用拡大を進めることで、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要であると指摘されている。また、いわゆる「年収の壁」を意識した就業調整が生じていることから、働き方に中立的な制度を構築していくことも必要であると指摘されている。こうした点を踏まえ、今後の制度の在り方をどのように考えるか。
  •  一方で、被用者保険においては、夫婦どちらかが就労する世帯・夫婦共働き世帯・単身世帯とも、一人当たり賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも負担・給付が同じになる構造となっていること、多様な属性の者を含む第3号被保険者の所得保障の柱として機能している制度であることに留意する必要性が指摘されている。また、第3号被保険者に新たに保険料負担を求める場合、免除や未納となり将来低年金となる可能性があるという指摘もされている。こうした点を踏まえ、今後の制度の在り方をどのように考えるか。
  •  第3号被保険者の中には、育児や介護、病弱等の理由により、就業に一定の制約を持つ方々や、第3号被保険者制度を前提に生活設計をしてきた方々が含まれており、仮に第3号被保険者制度の見直しを行う場合には、こうした方々への配慮が必要であると指摘されている。また、個々の事情に応じた公平な線引きの技術的な難しさや、これまで第1号被保険者として保険料を負担してきた方々とのバランスに関する指摘もある。こうした点を踏まえ、今後の制度の在り方をどのように考えるか。

(出所)第13回社会保障審議会年金部会資料(2024.5.13)


第3号被保険者制度改革の方向性~被用者保険の適用拡大~


○第3号被保険者制度については、前回の「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(平成27年1月21日)において、第3号被保険者を将来的に縮小していく方向性を共有するとともに、第3号被保険者については単に専業主婦(夫)を優遇しているとの捉え方ではなく、多様な属性を持つ者が混在していることを踏まえた検討が必要であることについても認識を共有した。その上で、まずは、被用者保険の適用拡大を進め、被用者性が高い人については被用者保険を適用していくことを進めつつ、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要であると整理されている。

(出所)令和元年12月27日社会保障審議会年金部会