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改正健康保険法成立 75歳以上の保険料引き上げへ

75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の保険料引き上げを柱とする改正健康保険法などが12日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。

 

全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するため、

 

 ●出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金の導入

 ●後期高齢者医療制度における後期高齢者負担率の見直し

 ●前期財政調整制度における報酬調整の導入

 ●医療費適正化計画の実効性の確保のための見直し

 ●かかりつけ医機能が発揮される制度整備

 ●介護保険者による介護情報の収集・提供等に係る事業の創設等の措置を講ずる。

 

<改正の概要>

 

1.こども・子育て支援の拡充

 

①出産育児一時金の支給額を引き上げる(※)とともに、支給費用の一部を現役世代だけでなく後期高齢者医療制度も支援する仕組みとする。

(※)42万円→50万円に令和5年4月から引き上げ(政令)、出産費用の見える化を行う。

②産前産後期間における国民健康保険料(税)を免除し、その免除相当額を国・都道府県・市町村で負担することとする。

 

2.高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し

 

①後期高齢者の医療給付費を後期高齢者と現役世代で公平に支え合うため、後期高齢者負担率の設定方法について、「後期高齢者一人当たりの保険料」と「現役世代一人当たりの後期高齢者支援金」の伸び率が同じとなるよう見直す。

②前期高齢者の医療給付費を保険者間で調整する仕組みにおいて、被用者保険者においては報酬水準に応じて調整する仕組みの導入等を行う。健保連が行う財政が厳しい健保組合への交付金事業に対する財政支援の導入、被用者保険者の後期高齢者支援金等の負担が大きくなる場合の財政支援の拡充を行う。

 

3.医療保険制度の基盤強化等

 

①都道府県医療費適正化計画について、計画に記載すべき事項を充実させるとともに、都道府県ごとに保険者協議会を必置として計画の策定・評価に関与する仕組みを導入する。また、医療費適正化に向けた都道府県の役割及び責務の明確化等を行う。計画の目標設定に際しては、医療・介護サービスを効果的・効率的に組み合わせた提供や、かかりつけ医機能の確保の重要性に留意することとする。

②都道府県が策定する国民健康保険運営方針の運営期間を法定化(6年)し、医療費適正化や国保事務の標準化・広域化の推進に関する事項等を必須記載とする。

③経過措置として存続する退職被保険者の医療給付費等を被用者保険者間で調整する仕組みについて、対象者の減少や保険者等の負担を踏まえて廃止する。

 

4.医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化

 

①かかりつけ医機能について、国民への情報提供の強化や、かかりつけ医機能の報告に基づく地域での協議の仕組みを構築し、協議を踏まえて医療・介護の各種計画に反映する。

②医療・介護サービスの質の向上を図るため、医療保険者と介護保険者が被保険者等に係る医療・介護情報の収集・提供等を行う事業を一体的に実施することとし、介護保険者が行う当該事業を地域支援事業として位置付ける。

③医療法人や介護サービス事業者に経営情報の報告義務を課した上で当該情報に係るデータベースを整備する。

④地域医療連携推進法人制度について一定の要件のもと個人立の病院等や介護事業所等が参加できる仕組みを導入する。

⑤出資持分の定めのある医療法人が出資持分の定めのない医療法人に移行する際の計画の認定制度について、期限の延長(令和5年9月末→令和8年12月末)等を行う。

 

詳しくは、

 

 ・全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案の概要(2023.2.16)→ こちら